「神の国は、あなたたちの間に」

ルカによる福音書17:20-29

「ファリサイ派の人々が、神の国はいつ来るのかと尋ねたので、イエスは答えて言われた。『神の国は、見える形では来ない。〔ここにある〕〔あそこにある〕と言えるものでもない。実に、神の国はあなたがたの間にあるのだ』」(17:20-21)。

本日の個所で、ファリサイ派の人たちがイエス様に問うたのは、「神の国はいつ来るのか」(17:20)ということでした。これに対して、イエス様は「実に、神の国はあなたがたの間にあるのだ」(17:20-21)と答えられました。このイエス様のメッセージを、ファリサイ派の人たちはどんなふうに受け止めたのでしょうか。「神の国が俺たちの間にあるだって?何を言っているんだ。そんなこと信じられない」そんなふうに受け止めたのではないでしょうか。実際、当時、彼らがおかれた現実を見回してみる時、そんなふうに思えて仕方のないような状況がありました。この時代、ローマ帝国が世界中を支配し、イスラエルはその支配下に置かれていました。国は搾取され、虐げられ、貧しい状況を強いられていました。そんな状況に人々の不満は爆発し、時々に各地で反乱が起こりました。そして、そのような反乱が起こる度に、国は荒れはて、疲弊していったのです。イスラエルの国は、そんなことを度々繰り返していました。そんな混沌とした時代状況の中にあって、「神の国はあなたがたの間にあるのだ」と言われても、そんなこと信じられなかったのではないかと思うのです。

私たちが置かれている現実にも、様々なことがあります。痛みや悲しみが絶えない混沌とした現実があります。そんな現実を見せられる時、「こんな状況の中に神の国があるなんて言われても、信じられない」と思ってしまうことがあるのではないかと思います。しかし、イエス様は、本日のファリサイ派の人々に対して、私たちに対して、それでも、「神の国はあなたがたの間にある」と宣言されているのです。

来週は、いよいよオープンチャーチが行われます。今年は、オープンチャーチに佐々木和之先生をお招きすることになりました。佐々木和之先生は、現在、アフリカのルワンダというところで、和解の働きを担っておられます。ルワンダでは、1994年に70万人に及ぶ民族間の大虐殺が起こりました。そのようなルワンダの地で、佐々木先生は、大虐殺の被害者と加害者の双方に関わりながら、和解のプロジェクトを行なっています。私たちには想像もできないような痛みや悲しみを抱え、それでもそこから歩みだそうとするルワンダの人たちに寄り添い、その歩みを支えているのです。佐々木先生のルワンダでの証を聞かせていただく時、本日の聖書の御言葉が心に迫ってきます。ルワンダのこれまでの歩みだったり、現実の状況を思う時、こんな状況の中に神の国があるなんて、とても信じられないと思うような状況があるのではないでしょうか。しかし、佐々木先生が関わっておられるルワンダでの働きを聞く時、まさにそのような痛みや悲しみが絶えない混沌とした現実の中で、「神の国はあなたがたの間にある」との御業が起こされている…。そのように思うのです。

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