本日のローズンゲンの御言葉です。
「主を愛する人は悪を憎む。」詩篇97:10
「愛に根ざして真理を語り、あらゆる面で、頭であるキリストに向かって成長していきます。」エフェソ4:15
先日、知り合いの牧師が、ある動画を紹介してくれました。1972年、黒人女性として初めて米国大統領選に出馬したシャーリー・チザムさんという人を紹介した動画です。公民権法が制定された直後の1968年、チザムさんは黒人女性として初めて下院議員に初当選しました。未だ黒人に対する差別や偏見が多かったこの時代に、彼女が大統領に立候補するということだけでも多くの反発を買いました。そのような中、彼女は言います。
「困難な道のりであることは分かっています。でも社会で変化のきっかけになるのは、社会制度の恩恵を受けている人たちから敬遠されるような人物なのです。変化を起こす人は、侮辱や屈辱、虐待、誹謗中傷に耐えなければなりません。私が大統領に立候補して何が悪いのですか?何と言っても私は15年間多くの大統領のゴーストライターを務めました。」
インタビュアーは尋ねます。
「この国は、黒人で、しかも女性の大統領を受け入れる覚悟があると思いますか。」
すると、彼女は答えます。
「米国は今まで多くのことに覚悟ができていなかった。公民権運動も受け入れる覚悟ができていなかったが、公民権運動が投票権法の制定に繋がり、それまで拒まれてきた自由が黒人たちに与えられた。カトリック教徒の大統領さえ受け入れようとしなかった。米国が私を受け入れるつもりがあるかどうか、国民が投票するまで分かりません。これは難題ですが、米国が私を大統領として受け入れることよりも重要なことがある。白人男性以外の人々も大統領選挙に出馬する時代になったという事実に慣れ始めることです。いつか黒人がこの国の政治指導者になったり女性が首脳になる時が来るということに気づくような風潮を作るのです。それが目的です。」
相次ぐ性差別的な攻撃を受け、相次ぐ人種差別的な攻撃を受け、チザムさんは民主党候補選出を逃しました。当時、候補者たちによるテレビ討論への参加さえ拒否されたそうです。しかし、民主党全国大会では152票を獲得しました。結果、共和党のリチャード・ニクソンが大統領に選出されました。彼女の紹介動画を見ながら、彼女のような人がいて、オバマ大統領のような人が選出される時代となっていったんだなと思いました。本日の御言葉には、次のように記されています。
「主を愛する人は悪を憎む。」
シャーリー・チザムさんのスローガンは「誰にも買収されず、誰にも指図されない」というものでした。彼女はあるインタビューの中で「なぜアメリカ合衆国の大統領になりたいのですか。」と聞かれ、このように応えています。「私が大統領になりたいのは、この国が進んでいる方向がとても心配だからです。今アメリカに必要なのは、倫理的な指導者でいかなる理由でも政治的に便宜を図ったり、後援者の利権を第一に考えたりする指導者はいらない。アメリカ人は誠実で言動が一貫した指導者を求めています。賛同できないことがあったとしても正直で偽りのない指導者です。私はそのような指導者になるため、この国の大統領に立候補しているのです。」彼女は14年間連邦議会下院議員を務め、都市部の貧困者層救済に一生をかけました。そんな彼女の動画を見ながら、本日の御言葉が心に迫ってきました。不正や不平等と戦い、弱者の救済に生きようとしたシャーリー・チザムさんの姿は、私たちにたくさんの大切なことを語りかけているのではないかと思いました。(鈴木牧人)