「奪い合う世界」

創世記14:1-12

 本日の箇所にはカナンの地で起こった王たちの戦いの記述が記されています。この時代、エラムの王ケドルラオメルがカナンの地一帯を支配していました。しかし、そのことを不服に思ったソドムの王を含めた五人の王が反旗を翻し、戦争になったのです。アブラムの甥のロトはソドムの町に住んでいました。ロトは王様たちの戦いに巻き込まれ、結局、ソドムの王たちは破れてしまったので、ロトたちはケドルラオメルに捕虜として連れていかれてしまったのです。

本日の箇所を読みながら、まず思ったのは、ロトのことでした。ロトはこの戦いに巻き込まれながら、どんなふうに思っていたのでしょう。「あの時、この場所を選んでしまったばかりに」そういう思いがなかったろうかと思うのです。ただ、何というのでしょう。この一連の流れについて、聖書が語ろうとしていることがあるんじゃないかと思います。この一連の流れをもう一度確認したいと思います。本日の箇所に記されている記述というのは、言うなれば九人の王様の間に起こった覇権争いの話でした。ヨルダン川流域の低地一帯という豊かな土地を、我が物にしたいという王様たちが互いに争いあっていたのです。けれども、よく考えてみますと、それって13章で起こっていることと同じだったのではないでしょうか。13章に書かれている記述は、アブラムの家畜を飼う者たちと、ロトの家畜を飼う者たちとの間に起こった争いの記述でした。結局、アブラムが妥協点を提案し、一方的に折れるような形で解決していきました。おかげでロトとしてはそれ以上争うことなく、自分が欲するものを手に入れることができたわけですが、そんなロトがやって来た世界というのが、ヨルダン川流域の低地一帯でした。そこで今度は九人の王様たちの奪い合いに巻き込まれてしまうのです。13章ではアブラムが一方的に折れてくれたので、何とかなりましたが、今回はそうはいきませんでした。ロトはこの戦いに巻き込まれ、今度は敗北し、全てを奪われてしまうのです。そんなふうに読んでいく時、13章と14章というのは、繋がっているのではないかと思います。規模や状況はもちろん違います。ですが、書かれている内容は13章にしても14章にしても、自分たちの豊かさを求めて、限られた資源を我がものにしようと争い合っている…。そういう人々の姿が記されているのだと思います。

 そして、何というのでしょう。そんなふうに争いあっている人々の姿を見ながら、それというのは決してこの時代の人々だけの話ではないんじゃないだろうか…。今の私たちも同じじゃないかと思います。自分たちだけの豊かさを求めて、限られた資源を我がものにしようと争っている…。そういう世界が今も様々なところで展開されているのではないかと思うのです。私たちは否応なく、そのような世界の中に巻き込まれてしまっているということはないでしょうか。そんな中、本日の箇所を読みながら思うのは、そのような世界の中で、アブラムはどう生きようとしているのか、何を選び取っていこうとしているのかということです。そのことは今の時代を生きる私たちにも問われていることなのではないでしょうか。

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