本日のローズンゲンの御言葉です。
「わたしの戒めに耳を傾けるなら/あなたの平和は大河のように/恵みは海の波のようになる。」イザ48:18
「義の実は、平和を実現する人たちによって、平和のうちに蒔かれるのです。」ヤコ3:18
5年前の12月4日、アフガニスタンで長年、人道支援に携わってきた医師の中村哲さんが銃撃されて亡くなりました。事件の捜査は、イスラム主義勢力タリバンが実権を握ってからも進展は見られず、真相解明の見通しは立っていません。しかし、そのような中にあって、中村さんの死後、その遺志を継いだ人々によるかんがい施設の整備は続いています。ナンガルハル州のナージアン地区ではことし4月から新たな用水路の建設が進められており、昨日、ペシャワール会の日本人スタッフらも見守る中、用水路に水を流す通水式が行われました。現地には水を確保するためのため池も建設され、およそ400ヘクタールの土地に住む人たちの生活の向上が期待されています。現地の工事を監督する技師のディダール・ムシュタクさんは「用水路に水が流れるのを見るのはこの上ない喜びです。こうした事業を今後も続けていきます」と話していました。ペシャワール会の村上優会長は「中村先生が敷いた道を歩いてきたという気がします。われわれはどういう事態、政治的状況になろうとも、この干ばつの中で人々が生き抜いていけるように水の事業を続けていかなければならない」と話していました。ニュースを見ながら、本当に心打たれる思いがしました。
本日の箇所には、次のように記されています。
「義の実は、平和を実現する人たちによって、平和のうちに蒔かれるのです。」
この御言葉を読みながら、今朝テレビで見た用水路の通水式のニュースを思い浮かべました。先日、香住ヶ丘教会で説教奉仕をさせていただいた時、一人の姉妹が声をかけてこられました。私が姪浜教会に赴任したばかりの頃、時々に姪浜教会の礼拝に来られていた方なのですが、お住まいのことなどがあり、他の教会に行かれるようになっていました。現在、別の教会に通っておられるとのことですが、中村哲さんが香住ヶ丘教会の教会員だということで、時々に礼拝に来られることがあるとのことでした。そうしたところ、たまたま私が説教に来たとのことで、本当に驚いていました。その姉妹は以前の仕事を終え、現在がペシャワール会で働いているとのことでした。後日、その姉妹からペシャワール会のカレンダーが送られてきました。本日のニュースや、その姉妹との出会いを通して、改めて、中村さんが召された後も、中村さんの思いを受け継ぎ、様々な働きが起こされているんだなと思いました。この憎しみや争いが渦巻く世界にあって、義の実は今もそのように蒔かれ続けているのです。
鈴木牧人