本日のローズンゲンの御言葉です。
「わたしはあなたに感謝をささげる/あなたは答え、救いを与えてくださった。」詩篇118:21
「イエスは言われた。『娘よ、あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい。もうその病気にかからず、元気に暮らしなさい。』」マルコ5:34
現在、コロナウィルスの問題が大きな課題になっています。そんな中、イタリアでも、緊急対応として、学校が休校を余儀なくされたということでした。そのイタリアのミラノのロンバルディア州で、緊急対策のため、休校になったアレッサンドロ・ヴォルタ高校のドメニコ・スクイラーチェ校長が、生徒たちへのメッセージを同行のネット掲示板に掲載しました。
その文章は17世紀のミラノを襲ったペスト感染の状況を語るマンゾーニの名著”許嫁(I Promessi Sposi)”の引用から始まります。
「〜ヴォルタ高校の皆さんへ〜”ドイツのアラマン族がミラノに持ち込む可能性があると健康省が恐れていたペスト。それは、実際に持ち込まれ、イタリア中に蔓延し、人々を死に至らしめた…”これは、1630年にミラノを襲ったペストの流行について書かれた”許嫁”の有名な第31章です。見事な先見性と良質な文章。ここ数日の混乱の中に置かれた君たちに、よく読んでみることをお勧めします。ここに全てが書かれています。外国人を危険と見なし、当局間は激しい衝突。最初の感染者をヒステリックなまでに捜索し、専門家を軽視し、感染させた疑いのある者を狩り、デマに翻弄され、愚かな治療を試し、必需品を買い漁り、そして医療危機。君たちもよく知っている通りの名前がいくつも登場するこの章は、マンゾーニの小説というより、まるで今日の新聞を読んでいるかのようです。親愛なる生徒たち。規則的な学校生活は市民の秩序を学ぶためにも必要です。休校に至るには、当局もそれ相応の決断をしたのでしょう。専門家でもない私は、その判断の正当性を評価することも、また評価できると過信もしません。当局の判断を信頼し、尊重し、その指示を注意深く観察して、そして君たちには次のことを伝えたいと思います。冷静さを保ち、集団パニックに巻き込まれないでください。基本的な対策(手洗いうがいなど) を怠らず日常生活を続けてください。この機会を利用して散歩をしたり、良質な本を読んでください。体調に不備がなければ家にこもっている理由はありませんが、スーパーや薬局に殺到しマスクを探しに行く理由もありません。マスクは病気の人に必要なものです。感染の広がりが速いのは、発展した文明の結果です。それを止める壁がないことは、数世紀前も同様で、ただその速度が遅かっただけです。このような危機における最大のリスクについては、マンゾーニ、そしてボッカッチョが、私たちに教えてくれています。それは、人間が作る社会が毒され、市民生活が荒れること。目に見えない敵に脅かされた時、人間の本能は、あたかもそこらじゅうに敵がいるかのように感じさせ、私たちと同じ人々までもを脅威とみなしてしまう危険があります。14世紀と17世紀のペスト流行時とは異なり、現代の私たちには確実で進歩し続ける医学があります。社会と人間性、私たちの最も貴重な資産であるこれらを守るために、文明的で合理的な思考をしましょう。もしそれができなければ、”ペスト”が勝利してしまうかもしれません。では、学校で君たちを待っています。」
文章を読みながら、色々なことを思いました。本日、我が家の息子が高校の卒業式です。いつもより短縮させた形で卒業式を行なうとのことでした。短縮形式ではありますが、それでも卒業式をきちんとできたことは良かったと思います。色々なイベントが中止になったり、学校が休校になったり、緊急事態として必要な措置かも知れません。しかし、スクイラーチェ校長が言われるように、その中で「あたかもそこらじゅうに敵がいるかのように感じさせ、私たちと同じ人々までもを脅威とみなしてしまう危険」を冒してしまうことがあるかも知れません。冷静に事柄を見極めることしていきたいと思います。本日の箇所には次のように記されています。
「イエスは言われた。『娘よ、あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい。もうその病気にかからず、元気に暮らしなさい。』」
本日の御言葉を読みながら、「安心して行きなさい」との言葉が心に留まりました。
病の中にあった女性に、このように声をかけてくださったように、様々な不安や悩みのある中でそれでも私たちに「安心しなさい」と呼びかけてくださる主を共に見上げて歩んでいきたいと思います。本日の礼拝は通常通り行ないます。ですが、以下のことをお願いしたいと思います。
①教会に来られた際、階段口にあるアルコールで除菌すること、マスクをすることをお願いします。
②3月1日、8日は、お昼の食事は行ないません。
③教会をお休みされる方で希望者の方には、礼拝の中継か録音データを送ります。
以上です。よろしくお願いします。(鈴木牧人)