本日のローズンゲンの御言葉です。

「焦って口を開き、心せいて/神の前に言葉を出そうとするな。神は天にいまし、あなたは地上にいる。言葉数を少なくせよ。」コヘレト5:1

「主よ、ヨハネが弟子たちに教えたように、わたしたちにも祈りを教えてください。」ルカ11:1
先日、日曜日に病院に出かけることがありました。教会員の方が診察を受けることになったので、その付き添いでやって来たのですが、病院一階の受け付けのところで待っていると、突然タクシーの運転手に付き添われて一人の女性がやって来ました。その女性は、苦しそうにしながら、話すこともできないほどでした。付き添っていたタクシーの運転手は、当直の看護婦さんに「この人は喘息の症状があるそうです」と説明していました。しかし、その看護婦さんは女性の様子を冷静に見ながら、こんなふうに言いました。
「これは喘息の症状じゃないですね。」 そう言って、彼女にゆっくり話しかけました。
「息を口からするのではなく、鼻からしてみてください。ゆっくり鼻からですよ。口から息をしてはいけませんよ。そうすれば段々息ができるようになりますよ。」
その女性は看護婦さんの言われるように鼻から息をしようとし始めました。すると、段々と落ち着いてきて、やがて、普通に息ができるようになったのです。「それでは行きましょうか。」と看護婦さんが言うと、その女性はすっかり落ち着いた表情で診察室に向かっていきました。その様子を見ていた人がこんなふうに言っていました。
「喘息が出て、無理に呼吸をしようとして、呼吸しすぎになってしまったんじゃないかな。時々にああいうふうになることがあるんだよね。」
お話を聞きながら、看護婦さんが「口ではなく、鼻から息をするように」と言ったのは、過剰な呼吸をしないように調整するためだったんだなと思いました。本日の箇所には、次のように記されています。
「焦って口を開き、心せいて/神の前に言葉を出そうとするな。神は天にいまし、あなたは地上にいる。言葉数を少なくせよ。」
ここには、私たちに対して、「焦って口を開き、心せいて/神の前に言葉を出そうとするな」と記されています。この「焦って口を開き、心せいて」という言葉を聞きながら、ふと、先日見かけた女性の姿を思い浮かべました。この女性は焦って無理に息をしようとして、逆に息ができなくなって、苦しくなってしまったのではないかと思います。それと同様に、私たちも焦って神様の前に出ていこうとする時、神様を見上げようとしながら、神様をきちんと見上げられないことがあるかも知れないと思うのです。

そんな中、呼吸を制限することによって逆に呼吸が整えられていくように、静まって祈りの言葉を整えることで、祈りが整えられるということがあるのではないかと思いました。

本日の御言葉には、「焦って口を開き、心せいて/神の前に言葉を出そうとするな」と言われている後、「神は天にいまし、あなたは地上にいる」と言われています。私たちの神である主は、私たちより偉大で、私たちのことを全てご存じなのだということが言われているのです。私たちにとって、何よりこのことを覚えることが大事なのだと思います。私たちが必死になって、言葉をせいて神様の前に語らなくても、神様は私たちが抱えている問題も、私たちの心の中にある思いも全て知っておられる…。そのことに信頼しながら、主の御前に祈りの言葉を整えていく…。その時、私たち自身の心も整えられ、主にある平安を取り戻すことができるのではないかと思うのです。

(鈴木牧人)

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