本日のローズンゲンの御言葉です。
人は恐怖の罠にかかる。主を信頼する者は高い所に置かれる。箴言29:25
もし、善いことに熱心であるなら、だれがあなたがたに害を加えるでしょう。
しかし、義のために苦しみを受けるのであれば、幸いです。1ペトロ3:13-14
ニュースでこんな記事を見かけました。
インターネット検索大手のグーグルは、去る1月30日、第2次世界大戦中の米政府による日系人の強制収容と戦った日系2世、故フレッド・コレマツ氏をアメリカのホームページに登場させたそうです。
現在の政治環境の中で、これは象徴的な意味を持つということでした。
コレマツ氏は、日本からの移民の子としてカリフォルニア州に生まれました。
第2次大戦中の1942年、当時のルーズベルト大統領は、真珠湾攻撃の報復として、日系人の強制収容を命じる大統領令に署名します。これによって11万5000人以上が収容所に送られました。
しかし、コレマツ氏はイタリア系米国人の恋人と離れたくなかったため、この命令に従いませんでした。
コレマツ氏は、その年のうちに逮捕され、カリフォルニア州の強制収容所へ送られてしまいます。その後、コレマツ氏は、自由人権協会(ACLU)の助けを借り、憲法上の権利を侵害されたとして米政府を提訴します。
そして、数十年に渡って、コレマツ氏は、戦時下の日系人の強制収容の大統領令が不当であったことを訴え続けるのです。
1980年にジミー・カーター大統領(当時)は、「戦時における民間人の転住・抑留に関する委員会」(CWRIC)を設置し、第二次世界大戦中の日系人の強制収容に関する調査を行うよう命じます。
結果、委員会は日系人への強制収容を、「人種差別や戦時下のヒステリー、及び政治指導者の失敗」により起こったものだと結論づけるのです。
コレマツ氏も1982年1月に、法史研究学者のピーター・アイロンズから「戦時中の資料の中から、日本人がスパイ活動をしていたという事実は無根であり、国が捏造したものであることを発見した」という内容の手紙を受け取り、再び政府と対決することを決意します。
途中、政府はコレマツ氏に対して特赦を申し出ますが、「私は国からの許しはいらない、許すのとするならば、私が国を許すのです」と述べ、あくまでも再審にこだわりました。
そして、1983年11月10日に41年前初めて裁判を戦った北カリフォルニア州連邦地裁でコレマツ氏の公判が行われ、マリリン・ホール・パテル判事は、1944年にコレマツ氏が受けた有罪判決を無効との決定を下し、コレマツ氏の犯罪歴は抹消されることとなったのでした。
法廷でコレマツ氏は、パテル判事の前で「私は政府にかつての間違いを認めてほしいのです。そして、人種・宗教・肌の色に関係なく、同じアメリカ人があのような扱いを二度と受けないようにしていただきたいのです」と述べました。
1月30日は、コレマツ氏の生誕98年に当たります。カリフォルニア、ハワイ、バージニア、フロリダの4州はこの日をフレッド・コレマツの日に制定しているそうです。グーグルは、今回、コレマツ氏をホームページに取り上げました。アメリカで中東七か国の渡航を制限する大統領令が発令されている今、グーグルがコレマツ氏をホームページに取り上げたことは象徴的な意味があるのだと思います。「人種差別や戦時下のヒステリー、及び政治指導者の失敗」により、かつての日系人強制収容所のような過ちを犯さないでほしいとの願いが込められているのではないかと思いました。
本日の箇所には、次のように記されています。
「人は恐怖の罠にかかる。主を信頼する者は高い所に置かれる。」
コレマツ氏のこれまでの歩みを見ていく時、この御言葉が心に迫ってきます。つくづく、私たちというのは、不安や恐れの罠にかかってしまう時、どこに向かってしまうか分からない者だということを思うのです。そんな中、真実の声からも耳を閉ざし、気づかない間に人を傷つけてしまう…。そんなことをしでかしかねない私たちがいるのではないでしょうか。
不安に心揺さぶられる中でこそ、主に信頼し、主の御声に心静めることの大切さを思います。
その時、私たちは恐れに心流されそうになる思いから立ち止まらされ、本当に大切なものは何か、事がらを見極めるまなざしが与えられるのではないかと思うのです。 (鈴木牧人)