「シャロームを作り出す人(愚かなふるまいに戻らないように)」

詩編85:1-9

「わたしは神が宣言なさるのを聞きます。主は平和を宣言されます/御自分の民に、主の慈しみに生きる人々に/彼らが愚かなふるまいに戻らないように。」(詩編85:9)

 ここには、主が御自分の民であるイスラエルの人々に対して、平和、シャロームを宣言されている様子が記されています。しかし、その一方で「彼らが愚かなふるまいに戻らないように」とも書かれています。せっかく神様から、シャロームを宣言され、シャロームを与ったとしても、再び、愚かなふるまいに戻ってしまう…。そういうことがあり得るから、こんなふうに語られているのだと思います。せっかくシャロームが得られたのに、何で、そんなことしてしまうの?普通に考えたら、そういう状況なのではないでしょうか。しかし、私たちはそういうことをしでかしてしまうことがあるのだと思います。ですから、この詩人は、警告として、「愚かなふるまいに戻らないように」と語っているのだと思います。

本日の御言葉を読みながら、思い出したのは、前広島市長の秋葉忠利さんの言葉です。秋葉さんは「歴史は繰り返す」ということについて、こんな話をしていました。

「よく『歴史は繰り返す』ということが言われますが、この言葉というのは『歴史は繰り返されるものだ』というふうに、あたかも決まった運命のような言われ方で語られた言葉ではありません。この言葉というのは、今から100年ほど前にアメリカの哲学者ジョージ・サンタヤーナが述べた言葉がルーツだと言われています。この人が語ったのは、正確には「忘れられた過去は繰り返す(Those who cannot remember the past are condemned to repeat it.)」という言葉です。もっと正確に言うなら、『過去を記憶できない者は、その過去を繰り返す運命を負わされる』という言葉です。ここで言われているのは、単に歴史というものは繰り返されるんだということではなく、歴史から学び、そのことを心に刻もうとすることなく、歴史をうやむやにし、そのことを忘れてしまう時、同じような歴史、過ちは繰り返されてしまうんだということを語っているのです。」

 本日の「彼らが愚かなふるまいに戻らないように」という言葉を読みながら、その秋葉市長の言葉が心に迫って来ました。私たちは時に、神様から与えられたシャロームを自ら手離してしまうことがあります。愚かな振る舞いに戻ってしまうことがあるのです。そのことをしないために、私たちは何よりもまず、忘れてはならないことがあるんだということを覚えていたいと思います。本日8月6日は、広島の原爆投下を覚える日です。今から78年前、広島に原子力爆弾が投下されました。一瞬にして多くの人たちの命が奪われ、その後も放射能による後遺症で多くの方が苦しみ、今も深い痛みの中にあります。そのことを心に刻んでいきたいと思います。また、今週水曜日8月9日は、長崎に原子力爆弾が投下されたことを覚える日です。そして、8月15日は敗戦を覚える日です。私たちは改めて、このことをこころに刻みながら、「愚かなふるまいに戻らないよう」忘れてはならない大切なことを心に刻んでいきたいと思います。

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