本日のローズンゲンの御言葉です。

遠い昔の日々を思い起こし/代々の年を顧みよ。あなたの父に問えば、告げてくれるだろう。長老に尋ねれば、話してくれるだろう。申命記32:7

そして、あなたが抱いている純真な信仰を思い起こしています。その信仰は、まずあなたの祖母ロイスと母エウニケに宿りましたが、それがあなたにも宿っていると、わたしは確信しています。Ⅱテモテ1:5

昨日、福岡アジア美術館に「福岡・水俣展」を見るために出かけてきました。水俣へは神学生の時に出かけたことがありますが、今回、展覧会を通して、改めて、色々なことを教えられ、考えさせられました。「福岡・水俣展」には、水俣病の歴史やそれに重ねた日本の歴史が年表として展示されていました。その年表からも水俣病の問題と当時の時代背景が密接に絡み合っていることを感じました。水俣病発生後すぐに、本当はチッソ工場から排出される工業用水に含まれた水銀が原因であることが判明していました。しかし、チッソはそれを決して認めようとはしませんでした。原因は他にも考えられるとして様々な説を唱えたのです。国もチッソを守ろうとします。チッソの社長は後に「当時、水俣奇病の問題よりも経営の立て直しに邁進しておりました」と取り調べで語っています。そのように命の問題より、経済優先の考えのもと、「何が問題なのか」、「どうすれば、被害を抑えられるか」ということが分かっていたにも関わらず、対処しようとはしてこなかったのです。また、水銀を排出し続けた当時の技術部長は、「水で希釈すればどういう毒でも無害になる」と信じ、主張していたということでした。当時の証言などの資料を見ながら、現在の東京電力福島第一原子力発電所の様子と重なってくることがたくさんありました。特に「水で希釈すれば無害になる」という言葉は、今回の原発からの「処理水」排水の際に言われていることと全く同じだと思いました。今回の「処理水」排水について、政府は一貫して「海水で希釈するから大丈夫」と強調しています。しかし、「本当に大丈夫なのか」という声は絶えることがありません。そんな中、福島の漁師さんから「排水には反対だが、あまりに反対の立場になって、それが風評被害に繋がったら困る」と板挟みの心境を聞きました。それも当時の水俣の漁師さんの意見と全く同じで、「水俣病ということを口にすればするほど、魚が安くなって生活ができないという漁業幹部の立場もあるし、補償金欲しさと見られるのもがまんできなかった」と当時の証言が紹介されていました。改めて、過去の出来事を忘れないことが、今起こっている問題と向き合うために大切だと思いました。

本日の箇所には、次のように記されています。

「そして、あなたが抱いている純真な信仰を思い起こしています。その信仰は、まずあなたの祖母ロイスと母エウニケに宿りましたが、それがあなたにも宿っていると、わたしは確信しています。」

今回の「福岡・水俣展」を見ていたところ、たまたまタイミングよく解説員が展示を解説してくれることになりました。聞くと、その解説員は、息子と同い年の大学四年生でした。現在、大学で水俣のことを研究しているとのことです。水俣の出来事が若い人たちに継承されていると知り、素晴らしいなと思いました。この時代、目まぐるしく様々な出来事が起こっている時代です。しかしながら、その出来事一つ一つに向き合うヒントは、過去の出来事に隠されていることが多々あります。そんな中、同じ過ちを繰り返さないため、目の前の問題にきちんと向き合うために、過去から学ぶことが本当に大事なのだと思います。そのために何より、聖書に学んでいきたいと思いますが、それだけではなく、様々な歴史からも学び、目の前の事柄に向き合っていけたらと思います。時間が取れましたら、ぜひ「福岡・水俣展」にお出かけください。

鈴木牧人

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